写真/坪根雄大
「海の中で魚と一緒に泳ぎたい」。スキンダイビングを始めると、そんなあなたの夢を叶えることができます。スキルアップすれば、イルカやクジラと海の中で泳ぐことだって、できるようになります。
この記事では、国内でスキンダイビングができる人気スポット、そしてスキンダイビングを始めるにはどのようにすればよいのか、どんなスキルを練習すればいいかなどを詳しく解説していきます。
スキンダイビングの魅力とは

スキンダイビングとは、スキューバダイビングのようなレギュレーターなどの呼吸器を使わず、自分で呼吸をコントロールして海に潜るアクティビティです。シュノーケリングと似ていますが、最大の違いは「水中に潜るかどうか」です。では、スキンダイビングにはどんな魅力があるのでしょうか?
魅力① 魚と同じ目線で泳げる
シュノーケリングのように水面から見下ろすのではなく、魚と同じ目線で泳ぐことができるのがスキンダイビングの醍醐味。群れの中を通り抜けたり、ウミガメと一緒に泳げたりする瞬間は格別です。
魅力② 自然と一体になる没入感を味わえる
スキューバのように器材やタンクを背負わずに、身軽に潜れるスキンダイビング。スキルが上達すれば軽やかに海の中を泳げて、自然との一体感が味わえます。
またスキューバだとレギュレーターでの呼吸音や泡が出ることで、魚たちが逃げてしまうこともあります。しかし、スキンダイビングだと音がしないので、生き物に自然に近づけるというメリットもあります。
魅力③ カメラ片手に自由な水中撮影が楽しめる
最近はアクションカメラなど、手軽な機材での撮影が人気。魚などの生き物はもちろん、太陽光が差し込む青い海の中で自分や仲間を撮るだけでも、絵になるシーンが撮影できます。
首都圏から日帰りでも行けるスキンダイビングポイント
「スキンダイビングはどんな場所で楽しめるの?」「近場の海でも大丈夫?」
ここでは、東京やその周辺から手軽に週末利用で行けるおすすめポイントを紹介していきましょう。
1.城ヶ島(神奈川県・三浦半島)

首都圏から気軽に行ける城ヶ島は、潮の流れが弱い入り江エリアがあり、スキンダイビングの練習やリラックスして潜るのにぴったり。メバル、ハゼ、カゴカキダイなど見られる魚種も豊富です。さらに晴れた日には遠く富士山が望めて、陸の風景も魅力的。京急本線を使えば、品川駅から三崎口駅まで快速特急で約1時間15分、駅から城ヶ島までバスで約30分と約2時間で行けます。
2.真鶴(神奈川県・真鶴半島)

スキューバダイビングの講習でもよく利用される真鶴は、スキンダイビングにも最適。「岩海岸」「福浦海岸」などのポイントは手軽にビーチエントリーできて、メジナ、スズメダイ、ネンブツダイ、カサゴ、夏から秋にかけてはチョウチョウウオの仲間も見られます。JR東海道線を使えば、東京駅から真鶴駅まで約1時間30分。「岩海岸」は、駅から徒歩でも行けます。
3.八丈島(東京都・伊豆諸島)

黒潮の恵みで生き物が豊富、透明度がいい八丈島の海には、スキンダイビングにおすすめのポイントがいくつもあります。中でも「底土海岸」はエントリーがしやすく、高確率でアオウミガメに遭遇できます。またツノダシやチョウチョウウオの仲間なども見られます。八丈島へは東京・竹芝桟橋から東海汽船の大型客船で、夜寝ている間に移動できます。また空路では全日空が1日3便運航されているので、羽田から約55分で行けて便利です。
4.平沢ビーチ(静岡県・西伊豆)

伊豆半島の西海岸・奥駿河湾の海に面した平沢ビーチは、スキューバやシュノーケリング、スキンダイビングを楽しむための専用施設が完備されています。風や台風の影響を受けにくい穏やかな海で、水深5~8mほどの砂地が広がり、スキルの練習にも最適。ソラスズメダイやウミウシ、ごく稀にですがウミガメが出現することも。車利用なら、東名沼津ICもしくは新東名長泉沼津ICから約40分。電車。JR沼津駅からバスで行くこともできます。
5.富戸(静岡県・東伊豆)

ビーチポイントが充実している富戸。「ヨコバマ」はエントリーしてすぐの浅瀬から、いろいろな魚と出会えます。初夏には産卵のためにアオリイカも集まってきます。また「富戸ホール」と呼ばれる洞窟は水深2mほどなので、スキンダイビングでも楽しめます。電車利用なら伊豆急行線の富戸駅、城ヶ崎海岸駅などで下車。ツアーやスクール参加なら、駅までショップが迎えに来てくれることが多いです。車では熱海から約40分。
6.ヒリゾ浜(静岡県・南伊豆)

夏季限定で、船でしか行けない秘境ビーチ。シュノーケリングやスキンダイビングのポイントとして人気があります。黒潮の通り道となっていて、クマノミやチョウチョウウオの仲間、ソラスズメダイ、さらにアカハタ、ブリやカンパチなどの回遊魚もやって来ます。透明度20mを超えることもあり、ダイナミックなシーンを楽しめます。中木港からヒリゾ浜まで、渡し船が運航されています。
沖縄のおすすめスキンダイビングポイント
旅行も楽しめ、美しいビーチやサンゴ礁の海を満喫できるのが沖縄のスキンダイビングポイントです。沖縄にはたくさんの島々がありますが、特にスキンダイビングに向いているポイントを紹介していきましょう。
1.青の洞窟(沖縄県・恩納村)

沖縄本島・恩納村「真栄田岬」にある半分海中にある洞窟で、観光スポットとしても大人気です。外部から洞窟内に光が差し込み、神秘的なブルーの世界が楽しめます。潜る時間によって洞窟内の色合いが変わるのも幻想的。見られる魚も豊富で、ツノダシ、ルリスズメ、ロクセンスズメダイ、ミスジリュウキュウスズメダイなどは定番です。那覇空港から車で60~90分(夏休みの時期などは渋滞に注意)。真栄田岬は海況によって遊泳禁止になる日も多いため、事前に公式サイト等で当日のエントリー可否を確認してから向かいましょう。
ゴリラチョップ(沖縄県・本部町)

沖縄本島北部にある「ゴリラチョップ」は、スキューバのポイントとしても人気があります。このユニークな名前の由来は、ゴリラが横向きで空手チョップをしているように見える岩があること。サンゴ礁やソフトコーラルが美しく、ロクセンスズメダイやデバスズメダイ、チョウチョウウオの仲間、そしてイソギンチャクの周りにはクマノミやハマクマノミが見られます。那覇空港からは車で90~120分(夏休みシーズンなどは渋滞するので注意)。
3.古座間味ビーチ(沖縄県・慶良間諸島)

日本屈指のダイビングスポットである座間味島は、スキンダイビングにも向いています。ビーチから入れるポイントはいくつかありますが、中でも初心者からおすすめなのは古座間味(ふるざまみ)ビーチ。遠浅でエントリーしやすく、白砂の海底が明るく、ルリスズメダイやデバスズメダイ、クマノミやチョウチョウウオの仲間などが見られます。座間味島へは、那覇・泊港から高速船で約50分、フェリーで約120分。
4.阿波連ビーチ(沖縄県・慶良間諸島)

渡嘉敷島には、スキンダイビングにいいビーチポイントがいくつかあります。阿波連(あはれん)ビーチは浅場から水深5mくらいの場所でも、魚が多く見られます。ルリスズメダイ、デバスズメダイ、チョウチョウウオ各種、クマノミは定番で、アオウミガメが見られることも。中級者以上向けですが、ビーチの外側寄りに行くと、ハナゴイやキンギョハナダイなども見られます。渡嘉敷島へは那覇・泊港から高速船で約40分、フェリーで約70分。
5.宮古島 八重干瀬 (沖縄県・宮古島)

宮古島の北沖に浮かぶ池間島。そのさらに北、約5〜15㎞に広がる国内でも最大級のサンゴ礁群が八重干瀬(やびじ)です。船でしか行けないエリアで、海況の良い時期にはスキンダイビングで、サンゴ礁とその周りに群れ泳ぐデバスズメダイやルリスズメダイ、チョウチョウウオ類などが見られます。アオウミガメとも高確率で遭遇チャンスあり。個人で行くことはできないので、マリンショップやダイビングサービスなどのツアーに参加しましょう。
6.石垣島 川平湾周辺(沖縄県)

川平湾は石垣島屈指の美しいビーチが広がるエリア。湾内は遊泳制限があるので、ボートでポイントへ向かい、スキンダイビングを楽しむスタイルです。エメラルドグリーンの海の中に潜れば、イキイキしたサンゴ礁、そこに群れ泳ぐデバスズメダイなどの色鮮やかな魚たちが出迎えてくれます。また、時期によっては沖合いにあるマンタポイントで、マンタとも会えます。マリンショップやダイビングサービスのツアーに参加して、ガイド付きで楽しみましょう。
※マンタを保護するため、ポイントによっては潜り込まず水面から観察するルールがあるため、ガイドの指示に従いましょう。
スキンダイビングを安全に楽しむコツ

スキンダイビングをより安全に楽しむには、プールや穏やかな海でスキルの練習をしておくとよいでしょう。ここではスキンダイビングを安全に楽しむために準備しておきたい器材や、身につけておきたいスキルを紹介します。
スキンダイビングに適した器材を準備しよう
まずは、スキンダイビングをするにはどんな器材が必要かをチェックしましょう。最初はレンタル器材でもかまいませんが、長く楽しもうと思うならマイ器材を揃えることをおすすめします。
マスク、シュノーケル、フィン
水中でモノを見るために必須のマスク、水面で呼吸するために欠かせないシュノーケル、そして泳ぐためのフィン。この3点セットは、信頼できる器材メーカーがスキンダイビング用に作っているものを選ぶようにしましょう。
ウエットスーツ
ウエットスーツは体の保護や保温に加えて、浮力の確保にも役立ちます。自分のサイズに合ったウエットスーツを着るようにしましょう。夏ならば薄手のスーツでも大丈夫です。
マリンシューズ
ビーチエントリーのポイントでは、波打ち際まで歩いて移動することになります。足の保護のために、サイズの合ったマリンシューズを履いておくと安心です。
なお、浮力を調整して潜りやすくするために、スキンダイビングではウエイトを装着します。ウエイトは現地のマリンショップやダイビングサービスでレンタルできます。適正なウエイト量は自分では調整が難しいので、最初はインストラクターやガイドにウエイトの調整のしかたを教えてもらうとよいでしょう。
基本スキルを身につけておこう

スキンダイビングの基本スキルを習得するには、ダイビングショップなどが開催する講習に参加するといいでしょう。安全に楽しむためにも、しっかり練習しておきましょう。
耳抜き
海の中へ潜っていくと、水深の変化で圧力(水圧)が鼓膜に加わり、耳が詰まったような感じになります。そのまま潜っていると、鼓膜を痛めてしまうことがあるので、耳抜きをこまめにする必要があります。耳抜きはいくつかのやり方があるので、講習を受けて自分がやりやすい方法を身につけましょう。
シュノーケルクリア
シュノーケルの中に入ってきた海水を、水面でシュノーケルをくわえたまま息を強く吐き出して、排水するスキルです。これがうまくできないと、誤って海水を飲んでむせてしまったりして危険です。プールなどの足がつく安全な場所で、確実にできるように練習しておくと安心です。
ジャックナイフ
水中へと潜るとき、水面でバタバタしてしまい、うまくいかないという人はけっこう多いものです。水面でおじぎをするようにして、頭からまっすぐ水中へ入っていく「ジャックナイフ」という方法がマスターできているとスムーズです。

また、自分の限界を超えて息を止めすぎると、水面付近で意識を失うシャローウォーター・ブラックアウトを招く恐れがあります。決して無理をせず、余裕を持って浮上することが大切です。
海況や流れを確認して無理をしないことが大事
スキンダイビングは、海という自然の中で行うアクティビティです。同じポイントでも、天候や海況、流れの有無でコンディションが大きく変わります。少しでもコンディションが悪かったら、無理に潜らないほうがよいでしょう。また単独行動はせずに、必ずバディと一緒に潜るようにしましょう。
まとめ:スキンダイビングで素晴らしい海の生き物との出会いを楽しもう!
スキンダイビングは、スキューバダイビングより手軽にできて、シュノーケリングより海の生き物に近づくことができます。
国内の海には、スキンダイビングで楽しめるポイントがたくさんあります。この記事を参考に、ぜひ首都圏の近場ポイントや沖縄の人気ポイントで、スキンダイビングを楽しんでください。
協力先
写真・情報提供/トゥルーノース https://truenorth.jp/tncms/
ライタープロフィール
山崎陽子
編集者/ライター
学生時代に訪れた沖縄・慶良間諸島で海の美しさに魅了され、卒業後スキューバダイビングの専門誌『マリンダイビング』編集部に就職。沖縄、モルディブ、タヒチ、パラオ、メキシコ、タイなど、国内外約30エリアの海と島を取材。現在はフリーランスとして、幅広いジャンルで活動中。著書に『こんなの見たことない! 海のエイリアン図鑑』(共著、2024年 山と溪谷社)がある。

